8938 LCホールディングス株主総会 質疑応答メモ(2019年6月27日開催)

LCホールディングスの株主総会が2019年6月27日の10時から開催されました。
場所は両国の第一ホテル両国 5階「清澄」です。

もとは倉庫などの不動産賃貸がメインの会社、いまは病院関連事業に業態転換中。
今期中に賃貸不動産売って病院に一本化する算段のようです。
なお、病院関連の不動産は今後も扱いますが、病院不動産は医療法人に属するとのこと。
医療法人は連結対象外のため、病院不動産の売却益は収益にカウントされません。
業態転換に伴って、社名も「グローム・ホールディングス株式会社」に変更されます(2019/10/1)。
グロームはGlobal(世界) + Medical(医療)からの造語だそうです。

社長はダヴィンチで脚光を浴びた金子さん。
資金調達に定評あって、ダヴィンチ時代はあちこちからお金引っ張ってきていました。
金子さんが表舞台に登場することになったのは前社長の本庄さんがインサイダーで問題起こしたため。

就任時の説明会では「有終の美を飾りたい」とおっしゃってました。
ダヴィンチは不動産業界席捲した後にリーマンショックで業績悪化、2010年に上場廃止しています。
ケネクリ3年ダヴィ8年と揶揄されたように癖の悪い投資先だったようで。

病院事業については、金子さんの海外経験から着想しているようです。
お医者さんは医療に専念し経営は経営のプロに、ということで、医療法人を事業継承して、経営支援でフィー収入を得つつ、病院不動産の運用や周辺ビジネスで収益を上げていく形のようです。
高齢者医療を日本で完成させて、将来的には海外展開も視野にいれているみたいです。
「ビジネスモデル構築から3年、ようやく信用力があがってきた」とのことなので、今後に期待のできる総会だったと思います。

事業報告他30分、質疑応答1時間ほどで終了。
質問がなくなるまで答えていました。
Q1以外はすべて社長の金子さんが回答。

質疑応答(要約)

Q1.取締役の方々の役割を教えて欲しい。
(金子さん)
青山:日本でかなりの医療法人の監査をしている。
小山:病院事業継承のアンダーライト(引受)と病院不動産の売却を担当。
橋本:事務長や病院再建など、長年病院経営に携わっている。青山と共に医療法人継承の情報収集に当たる。
鬼木:病院不動産の資産管理、バリューアップ。病院不動産は他の不動産のバリューアップとはだいぶ違う。

(追加で質問)各人からコメント欲しい。
(青山さん)
取得の医療法人の健全化。うちらしい特色のサービスを出す。いかに利益体質にもっていくか。

(小山さん)
病院取得の見極め。医療法人のオペレーションとしての価値、不動産としての価値を見極める。
また、出口の流動化。病院は始まったばかりなのでマーケットを構築しながらやっていく。

(橋本さん)
LCメディコムを中心に病院の取得と経営。今まで大小さまざまな病院に関わった経験を活かす。

(鬼木さん)
病院の機能維持・機能転換、バリューアップをやっていく。設計事務所や外資で不動産投資などを経験。

Q2-1.病床取得の遅延理由
話はたくさんもらっている。
ビジネスモデル構築から3年、最初の1年は1つも買えなかったが今は信用力があがり、売り手から話がくるようになった。
内容も非常にいいものがくる。
今後は早くなるが、売る不動産がたくさんあるので人手不足。

Q2-2.キーマン3人が離脱した場合の影響
初年度が一番大変だった。
根幹は継承法人のシステム化。
一度作ればかなりの部分をマニュアル化可能で、持続可能。
海外事業もあるので、いま欠員は困るが将来は平気。
※以前からキーマンとして青山、小山、橋本の3人を挙げている

Q2-3.周辺ビジネスについて
目的はふたつ。
ひとつは追加の収益。今季は1億ちょっと。
もうひとつはEBITDA。
いまの株価はEBITDA3倍、医療関連事業のEBITDAは50倍。不動産業という低いEBITDAから医療関連事業という高いEBITDAにもっていきたい。
病院事業は供給がなくて需要が増える。日本でそうはないビジネスチャンス。

Q3-1.プラットフォーム完成時の利益率
医療法人はコスト削減も営業もしていない云々。
※質問の意図を把握していない回答だった

Q3-2.リートや私募ファンドの組成遅延
簡単にいうと金融機関。医療法人は地銀の独壇場。ファンドをするには全国的な金融機関が必要になり、金融機関の教育が必要。
なので、方向転換して地域の投資家などにそのまま売る方向で進んでいる。
病院不動産は比較検討できる対象がないのも問題あった。

Q3-3.競合
医療法人の事業継承に特化した企業はない。
病床数130万床あるのに、いちばん大きいのが6万床で国、赤十字が4万床。
2~30年前の日本の小売業みたいな感じで、経営統合が進まないと事業継承者がいなくなる。
2400床は10位に入っていないと思う。

Q4.病院不動産のオフバランス化。
リートに適する不動産と適さない不動産がある。売りやすい形でやっていく。

Q5.バリューアップは何をするのか。
継承した医療法人をエンタープライズ(事業)と病院不動産に分ける。
不動産は綺麗にして価値をあげると高く売れるが時間が掛かるので、そのまま売っても儲かる価格で買ってくる。
売り方は20年間のリースバックとして売る(売却して賃貸契約を結ぶ)。
医療法人ごとの収益安定性をみて不動産売却と賃貸契約を行い、集まった医療法人からは経営指導料を貰うというのが我々のビジネスモデル。
※ここは大部要約しています。医療法人のEBITDAに対する割合で説明していました。

Q6-1.レンディングは今後も活用するのか。
いままでの不動産を売却するので減っていくが、ニーズについては今期見極める。

Q6-2.今期見通しの利益内訳
売却不動産によるものが多い。今期辺りから医療法人からの収益と逆転していく。
医療法人は連結対象外なので、フィー収入になり、減収増益のビジネスモデルになる。

Q6-3.中計最終年度の売上と利益の予想は医療関連のみか。
※話が噛み合っていなかったので割愛。Q8で別の人が改めて質問。

Q7-1.オフバランスした病院不動産はあるのか。
まだオフバランスした病院不動産はない。
現在はこれまで持っていたノンコア事業の不動産を売っている。
なお、病院不動産については医療法人が持っているので、売却利益は医療法人に属するようになる。

Q7-2.医療法人を所有するとはどういうことか。
医療法人は個人か一般社団法人が所有できる。我々は一般社団法人を通して所有。

Q8.中計の最終にノンコア事業の不動産売却益は入るのか?
ノンコア事業の不動産は全部売る。
来期からは全部医療法人を通しての収益になる。
中計参考

株主が質問している途中でさえぎって話し始めたりとせっかちな社長さんですが、総会の雰囲気は総じて良かったです。
話が噛み合わず、ん?という場面はありましたが、しっかり説明しようとしていました。
業態転換上手くいくのか、が焦点だったろうと思いますが、将来性に期待の持てる総会だったと思います。